空高くのびた一本。
奇跡の一本松。まっさらに流された土地にひっそりと佇んでいた。
この木を見るために、ここの周りにだけ沢山の人が集まりはじめる。
なんだか複雑な気持ちだな。だけど、これでいいのかもしれない。
本編はじまり！
大きな揺れでで起床する。急いでスマホでニュースチェックします。
「マグ二チュード４.３・・・津波の心配はなし」。この間の余震らしい。
これから海沿い走るってのにビビるわ。崖崩れには気をつけよう。
腹が減っては走れない。チーズを挟んで食パンを火にかけます。
金網はないのでコッヘルの蓋でほどよく加熱。小麦色になってきたぞ。
豪快に端っこからガジりつきます。すこし焦げた触感が最高です。
出発だ！登って降りて登って降りての酷道。これがリアス式の地形か。
汗がジワーっと出てきました。道端に自転車をとめて一息つくことにします。
上着を脱いでタオル首に巻いてく。走りやすくなった。気合十分いくぜ！
トンネルは恐ろしく狭い。できるだけ壁に張り付いてから走ります。
ここは被災地復興中のため、ダンプカーやトラックが本当に多いです。
気を引き締めます。大型車両の音に注意しながら脱出しました。
バチーン！うおっつ！なんだ今の音は？たしかに何か聞こえたぞ。
気になって後ろに振り向くと、自転車のバックが地面に落ちていました。
荷台から外れるなんて旅に出て初めてです。焦らず慎重に進もう。
２つの峠を越えてから陸前高田に突入。被災地へと足を運びます。
「沿岸は絶対見てほしい」岩手で出会った夫婦にそう言われていました。
ガレキの山を想像していたけど、かなり片付けられている印象です。
思っていた以上に復興が進んでいるらしい。何もなくてまっさら。
道の駅はこのありさまです。傍には追悼の折鶴が供えてありました。
どこか物悲しい景色です。ＴＶ越しで見ていた世界がここにある。
当時ここに旅人もいたかもしれません。流された人もいるんだろうか。
基本的に海沿いを走るもんな。突然リアルに感じられて寒気がしました。
旅を親に反対されたのって、津波や災害の心配もあったんだったな。
この悲惨な現実を目にした現在。不安になる気持ちも分かります。
何が起こるか分からないのに、日本一周を許してくれた親に感謝です。
さらに奥へと自転車の車輪を回します。速度を落としてゆっくり。
異質な空気が漂っています。工事車両ばかりで全く人気がないです。
ふと人影が見えたので近づきます。聞くと社会科見学に来た中学生です。
他にも色んな層の人が集っています。他に人がいることに安心する。
津波に耐えた『奇跡の一本松』。見に来てくれる人達が沢山います。
修復に関して色んな問題が叫ばれていますが、自分としては賛成です。
復興のシンボル。完成したからには観光の要として頑張ってくれ！
工事の邪魔にならないよう進みます。そして一本松のにいた人たち。
中学生は噂話でキャッキャしたり、老夫婦は楽しそうに会話していました。
不謹慎はぶっ壊して、楽しくすごした方が明るい町になるのかもな。
再び内陸を目指します。突如現れたアップヒルをひたすら走る。
海沿いだけじゃなくて内陸の山もエグいです。オラオラおりゃぁぁ！！
全体重を使いきます。気合いを入れてべダルを踏み込んでいく。
まぁまぁハードな道。円状になった坂道をグルグル登らされます。
かなり足が重いぞ。相棒のふなっしー先輩も疲れを隠し切れません。
「眉間にシワも寄るなっし～！だけど勝負はここからなしよ！」
山を下り『猊鼻渓』という場所を発見。あの船にも乗れるらしいです。
どうやら有名な観光地らしい。川を流れる風が涼しげですごく気もちい。
自然に癒された所で再出発します。まだまだ元気にいきましょう！
すっげー荒れてるだな。イキのいい雑草たちが歓迎してくれました。
小さい道がいくつも別れています。迷う自信がフツフツ湧いてきた！笑
予定どおり迷子に成功です。地図とにらめっこして脱け出しました。
今日は７月７日。そこらへんに落ちている竹をチャリにぶっ刺します。
七夕バージョンのチャリ完成です。夜空に広がる天の川。見れるかな？
チラッと空を見上げると厚いくもり空でした。どうか晴れますよーに！
今度は道が分かりやすくなりました。アホみたいに何もねーじゃん！
感動の田園ラインです。ペダルを回す回す回す。ダァアアアッツ！！！
夕暮れの田んぼを駆け抜けます。青と緑の水平線がずっとつづく。
寝床予定の『道の駅 厳美渓』に到着。無料休憩所もあるようです。
地元のオッチャンがいたので情報収集します。夜は閉館するらしい。
利用者のマナーが悪くて時間制限されたんだとか。なるほど・・。
ちょっくら中も見学します。土産品でその土地を感じるのが趣味です。
外に戻るとさっきのオッチャンと再会。飼ってるネコの話をしてくれます。
住民しか分からない、この町の良いとこ悪いとこも教えてくれました。
まだ日が明るいです。走ってすぐにある観光地へ行ってみます。
あっというまに『厳美渓』に到着。水墨画にありそうな迫力ある光景。
近くまで歩いてみます。むき出しの崖に母なる大地を感じました。
再び駅へ戻ってテント設営完了です。屋根の下をお借りしました。
今日はすげー見て回ったな～。ちょっと予定は狂ったけどまーいっか！
東京で予定も入ったことだし、これからはコンスタントに走ってこ！
テントの中から夜空を見上げます。やっぱり雲がかかってるな。
目を凝らして見てもよく分からない。うっすらと星が見えるだけです。
ネットにある写真で我慢しよう。天の川は来年のお楽しみだな！
次回につづく。。
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